ドアが閉まる速度を緩やかに制御し、室内の気密性を保つ役割を担うドアクローザー。その内部には、スムーズな動作を支えるための油圧オイルが封入されています。しかし、長年の使用や不慮の事故により、この油圧オイルが漏れ出すことがあります。まず、ドアクローザーの油漏れを放置することの最大のリスクは、ドアの制御機能の低下です。油圧オイルは、ドアが急激に閉まるのを防ぎ、安全かつ静かに閉まるように調整する役割を担っています。オイルが漏れて量が減少すると、この制御機能が失われ、ドアが勢いよく閉まるようになります。これにより、指を挟んで怪我をする、物にぶつかって破損させるといった事故のリスクが高まります。特に小さなお子様や高齢者のいるご家庭では、予期せぬ事故につながる可能性があり、非常に危険です。次に、油漏れの放置は、ドアクローザー本体の寿命を著しく縮める原因となります。油圧オイルは、内部の部品を潤滑し、摩擦を軽減する役割も果たしています。オイルが不足した状態で使用を続けると、部品同士の摩擦が大きくなり、摩耗が進行します。これにより、本来であれば長く使えるはずのドアクローザーが早期に故障し、結果的に修理や交換の費用がかさんでしまうことになります。さらに、漏れ出した油が床や壁に付着すると、清掃が困難になるだけでなく、滑りやすくなるため転倒のリスクも生じます。特に油性の汚れは落としにくく、建物の美観を損ねる原因にもなりかねません。また、油の種類によっては、独特の臭いを放つ場合もあり、生活環境の悪化につながる可能性も否定できません。「少しの油漏れだから」と安易に考えるのは危険です。初期のわずかな油漏れであっても、放置すれば徐々に悪化していく可能性が高いです。油漏れは、ドアクローザー内部のパッキンやシール材の劣化、本体のひび割れなどが原因で発生します。これらの損傷は自然に修復されることはなく、時間とともに進行していくことが一般的です。では、ドアクローザーから油漏れを発見した場合、どのように対処すべきでしょうか。最も重要なことは、放置せずに適切な対応を取ることです。まず、油漏れの程度を確認し、明らかに漏れ出している量が多い場合や、ドアの閉まる速度に異常が見られる場合は、直ちに使用を中止し、専門の業者に連絡することをおすすめします。