鍵の専門家の視点から見ると、鍵のない部屋に簡易的に鍵をかけるという行為は、あくまで一時的な応急処置であり、本格的な防犯対策にはなり得ません。これらの方法を実行する際には、いくつかの重要な注意点があります。まず、最も重要なのは、これらの方法が本格的な鍵の代替にはならないということです。簡易的な施錠は、第三者による不正な侵入を完全に防ぐことは難しく、あくまで時間稼ぎや抑止力として考えるべきです。次に、使用する道具や方法によっては、ドアやドア枠を傷つけてしまう可能性があります。特に、粘着力の強いテープや無理な力を加える方法は、跡が残ったり、破損の原因になったりする可能性があるため、慎重に行う必要があります。また、火災などの緊急時には、これらの簡易的な施錠が避難の妨げになる可能性も考慮しなければなりません。いざという時に素早く脱出できるよう、施錠方法が複雑になりすぎないように注意が必要です。さらに、これらの方法は、あくまで一時的なものであり、長期的な使用には適していません。頻繁に施錠が必要な場合は、専門業者に依頼して本格的な鍵を取り付けることを強く推奨します。先日、友人宅に泊めてもらった際、私が寝る部屋には内鍵がありませんでした。夜中に不用意にドアが開いてしまうのではないかと少し不安に感じた私は、手持ちのアイテムで何とか簡易的な鍵を作ることを試みました。まず目をつけたのが、旅行用のキャリーケースについていた荷物固定用のベルトです。このベルトをドアノブに通して、ドアが数センチ以上開かないように固定してみました。ベルトの長さを調整することで、ある程度の抵抗も加えることができ、意外にもしっかりとドアを固定することができました。もちろん、誰かが無理やり開けようとすれば防ぐことはできないでしょうが、少なくとも不意にドアが開いてしまう心配はなくなりました。また、別の機会には、実家の物置部屋に一時的に貴重品を保管する必要があったのですが、ここにも鍵がありませんでした。そこで私が試したのは、S字フックと太めの麻紐を使う方法です。ドア枠の上下にS字フックを引っ掛け、その間に麻紐を何重にも巻き付けました。見た目は少し頼りないかもしれませんが、実際にドアを開けようとすると、麻紐が突っ張って簡単には開かない状態になりました。
鍵の専門家が教える応急処置の注意点