家庭用金庫を購入したものの、どこに設置すれば良いか悩む方は少なくありません。金庫の性能を最大限に活かし、かつ安全に保管するためには、設置場所の選定が非常に重要になります。まず大前提として、金庫は人目に付きにくい場所に置くのが基本です。空き巣などの侵入者は、短時間で効率的に金品を物色しようとします。そのため、リビングなど誰の目にも触れやすい場所に無造作に置かれている金庫は、真っ先に狙われる対象となりかねません。クローゼットの奥や押し入れの中、納戸などが一般的な候補として挙げられますが、さらに一工夫することで、より安全性を高めることができます。例えば、衣類や荷物でカモフラージュして、金庫の存在自体を分かりにくくするのも有効な手段です。ただし、あまりにも奥深くに隠しすぎると、いざという時に持ち出しにくくなるため、そのバランスも考慮する必要があります。次に考えたいのが、金庫の重量と床の耐荷重です。特に重量のある金庫の場合、設置場所の床がその重さに耐えられるかを確認する必要があります。木造住宅の2階などに設置する場合は、床の補強が必要になるケースも考えられます。不安な場合は、建築士や工務店に相談してみるのが良いでしょう。また、湿気の多い場所は避けるべきです。金庫内に保管する書類や金属製の貴重品が湿気によって劣化したり、錆びたりするのを防ぐためです。脱衣所や窓の結露が多い場所の近くは適していません。どうしても湿気が気になる場合は、金庫内に乾燥剤を入れるなどの対策を講じましょう。さらに、火災時のことも考慮に入れる必要があります。耐火金庫であっても、長時間火にさらされれば限界があります。燃えやすいものの近くや、火元となりやすいキッチンの周辺などは避けた方が無難です。また、地震の際の安全性も無視できません。金庫が転倒したり、落下したりすると、金庫自体が破損するだけでなく、周囲の人や物に被害を及ぼす可能性があります。可能であれば、床や壁にボルトで固定できるタイプの金庫を選び、専門業者に依頼してしっかりと固定してもらうことをお勧めします。固定が難しい場合でも、できるだけ安定した場所に置き、周囲に落下物がないかを確認しましょう。最近では、デザイン性の高い「見せる金庫」も登場していますが、やはり防犯面を考えると、隠せる場所に設置するのが基本です。