近年、防犯性の高さから急速に普及しているディンプルキーですが、その合鍵作成は従来のギザギザした鍵(ピンタンブラーキー)と比較して格段に難易度が高く、専門的な知識と技術が求められます。ディンプルキーとは、鍵の表面に深さや大きさの異なる複数の小さなくぼみ(ディンプル)が設けられている鍵のことです。この複雑な構造がピッキングなどの不正解錠を困難にし、高いセキュリティ性能を実現しています。しかし、その複雑さゆえに、合鍵を作る際にも精密な加工技術と専用の機械が必要となるのです。一般的なホームセンターなどでは、ディンプルキーの合鍵作成に対応していない場合が多く、断られてしまうことも少なくありません。これは、ディンプルキーのブランクキー(加工前の鍵)自体が特殊であり、入手が限られていることや、高精度な複製機がなければ正確な合鍵を作製できないためです。もし不正確な合鍵が作られてしまうと、鍵が回らない、抜けないといったトラブルだけでなく、鍵穴内部の精密な部品を損傷させてしまうリスクもあります。そのため、ディンプルキーの合鍵を作成する場合は、高度な技術力を持つ鍵の専門店や、メーカーに直接依頼するのが確実な方法と言えるでしょう。専門店では、ディンプルキー専用の高性能な複製機を備え、経験豊富な技術者が作業にあたります。料金は、一般的な鍵に比べて高くなる傾向があり、数千円から一万円以上かかることもあります。これは、技術料や特殊なブランクキーの費用が含まれるためです。また、ディンプルキーの中には、メーカーによる登録システムが採用されているものがあります。この場合、合鍵を作成するには、鍵の所有者情報が登録されたカード(セキュリティカードやオーナーカードと呼ばれることもあります)の提示が必須となることがほとんどです。このカードがないと、たとえ本人であっても合鍵作成を断られるケースがあります。これは、第三者による不正な複製を防ぐための重要なセキュリティ措置です。メーカーに直接依頼する場合も同様で、純正キーの提供や身分証明、登録カードの提示が求められますが、最も確実で安全な合鍵を入手する方法と言えます。納期については、即日対応が難しい場合が多く、数日から数週間程度かかることも考慮しておく必要があります。