家族で車を共有することになったり、万が一の紛失に備えてスペアキーを作っておきたいと考えたりした時、昔ながらの差し込むタイプの鍵であれば近くのホームセンターですぐに作れると思っている人は多いですが、最近の車事情や鍵の構造は複雑化しており、見た目は単なる金属の鍵であっても簡単に複製できないケースが増えているため注意が必要です。最も大きな落とし穴となるのが「イモビライザー」の有無であり、2000年代以降に製造された車の多くには盗難防止のために鍵の持ち手部分(ヘッド)の中に小さなICチップが埋め込まれており、このチップのID情報と車体のコンピュータが一致しないと、いくら鍵の形状が同じでドアが開いたとしてもエンジンだけは絶対にかからない仕組みになっています。そのため、自分の車にイモビライザーがついているかを知らずに、ホームセンターの合鍵コーナーで数百円の安価な金属キーを作ってもらったとしても、それは単にドアを開けるだけの「ドアキー」にしかならず、エンジンをかけようとしてもセルが回るだけで始動しないという無駄な出費になってしまうのです。イモビライザー付きの合鍵を作成するためには、専用の機材を使ってチップのデータを複製するか、あるいは新しいチップを車両に登録する必要があるため、ディーラーに依頼して純正キーを取り寄せるか、イモビライザー登録に対応した専門の鍵屋さんに依頼するかの二択となり、費用も数千円から一万円以上、車種によっては数万円かかることも覚悟しなければなりません。また、イモビライザーがない古い車であっても、長年の使用ですり減った鍵(マスターキー)を元にして合鍵(コピーキー)を作ると、誤差が大きくなって回りにくい鍵が出来上がってしまい、最悪の場合は鍵穴を傷めたり抜けなくなったりするトラブルの原因となるため、合鍵を作る際は可能な限り使用頻度の少ない純正のスペアキーを元にするか、鍵番号からメーカー純正の新品を取り寄せるのが最も確実で安全な方法です。たかが合鍵と思わずに、自分の車の年式やセキュリティシステムを正しく把握し、目的に合った正しい方法で作成することが、後のトラブルを防ぐために非常に重要となります。